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なぜ根元のむし歯は進行が早いの?

歯の豆知識
歯科に来院される目的で1番多いのがむし歯の治療です。
痛くて夜も眠れない・・・そんな皆さんを悩ませるむし歯は、年齢を重ねる毎にリスクが高くなってきます。
その原因の1つは歯ぐきが下がった事によるもので、この根元のむし歯を根面カリエスといいます。
今回は根面カリエスがどうしてなりやすいのかをお話したいと思います。


・そもそも根元ってどこ?

歯は1番外側の硬いエナメル質、その下の象牙質、神経である歯髄に根っこを覆っているセメント質で構成されています。
通常は外側のエナメル質が見えている状態での歯と歯ぐきとの境目を’根元’と呼んでいますが、
歯茎が下がったことにより露出した象牙質とセメント質が溶けてしまうことを根面カリエスと言います。


・なぜ根元はむし歯になりやすいの?

少し難しいお話になりますが、
エナメル質は硬い無機質が約95%・軟らかい有機質が約5%
象牙質は無機質が約65%・有機質が約35%
で構成されています。
エナメル質はハイドロキシアパタイトという結晶が規則正しく並んでいる(硬い)のに対し、
象牙質はコラーゲンが格子状になっているところにハイドロキシアパタイトという結晶がくっついています。
この結晶が細菌の酸で破壊されて穴があき、むし歯となるのですが、すぐに穴になるわけではなく
唾液の力で酸を中和したり再石灰化(修復)されるため、溶けては戻ってを繰り返し、少しずつ進行してきます。
ところが象牙質はエナメル質よりも結晶がきれいに並んでいない分溶けやすい上に、
むし歯菌の酵素によりこのコラーゲン層そのものが破壊されて再石灰化できず、そのまま溶かされ続けて穴があいてしまうのです。

さらに臨界pH(これ以下だと溶け始める)数値をみてみると、エナメル質が5.5pHに対して
象牙質は6.0〜6.2pHと中性に近い酸でも象牙質が溶け出してしまいます。
簡単にいうと、飲み物や食べ物の酸でも容易に溶けやすいということです。唾液にはコラーゲン層の修復ができないので、
きれいに歯みがきをされていて磨き残し(細菌の塊)が少なくても、間食が多い方は酸にさらされ続けるのでむし歯のリスクが高くなります。


・予防策は?

まずは根元が露出しないよう歯周病の進行を食い止めましょう。また、過剰なブラッシングで歯茎が傷ついて下がってしまうだけでなく、
根元そのものが削れることもあるので歯科で歯みがき指導を受けて頂くのも大切です。
その他には飲み物も含め間食の取り方に注意しましょう。
1度とると唾液が中和してくれるまでおよそ40分程度かかります。飴などしばらくお口に糖分が入っている状態は危険です。
また、フッ素入りの歯みがき粉や洗口剤を使用するのもむし歯予防には良いことですが、フッ素にはコラーゲンの修復ができません。
根元のむし歯予防には、コラーゲンを保護してくれる有効成分の入ったピロリドンカルボン酸という歯みがき粉をぜひ探してみてください。