皆さんはテレビ等で「歯垢」と「歯石」という言葉を1度は耳にしたことがあると思います。しかし両者の違いについて正しく理解できているでしょうか？
できているのとできていないのでは毎日の歯磨きに対する意識も変わってくると思いますので今回は歯垢と歯石の違いについてお話していきます。

・歯垢
歯垢はプラークとも呼ばれており歯の表面に付着する粘々した白っぽいかすのような状態のものをいいます。
食後8時間程度で出来ると言われており、よく食べかすと間違われることもありますが、そうではなく細菌が増殖して塊になったものです。
歯垢1mg中には1億個以上もの細菌が存在していると言われています。
歯垢はうがいでは取り除くことが出来ず、放っておくと菌の作った酸が歯の表面のエナメル質を溶かして虫歯や歯周病の原因になります。
加えて、歯垢に含まれる細菌が硫化水素等の臭いの強いガスを発生させて口臭の原因にもなってしまうのです。

歯垢が付きやすい場所は歯の3大不潔域といわれる「奥歯の噛む面」「歯と歯茎の境目」「歯と歯の間」であり虫歯の好発部位、後者2つは歯周病の好発部位となっています。
歯磨きの際にこの3箇所を少し意識して磨いてみるだけでも歯垢の磨き残しが少なくなると思います。
また、歯磨き後にプラスしてデンタルフロスを行うと歯垢除去率が1.5倍にもなると言われています。

・歯石
歯石は歯垢に唾液中のリン酸カルシウムなどが石灰化して沈着し、石のように硬くなってしまった状態のものをいいます。
歯石は2種類あり、歯と歯肉の境目から上にある歯石を歯肉縁上歯石、歯と歯肉の境目の溝の中にある歯肉縁下歯石に分けられます。
歯垢が歯石になるまでは約2日程度といわれており、歯磨きを怠ったり磨き残しがあるとあっという間に歯石になってしまいます。
歯石自体は無毒化されていますが、表面はザラザラしており更に歯垢が付着しやすくなっています。
1度歯石が付着すると細かいデコボコに歯垢が複雑に入り込む為歯磨きをしても効率よく取り除くのが難しく歯肉の炎症も起こしやすくなり、歯周病の悪化にも繋がります。

歯石が付きやすい場所は唾液腺が開いている場所の近くで「下の前歯の裏側」「上の奥歯の頬側」が最も付着しやすくなります。
ただし、歯の磨き方にも左右される為、他の場所にも付着することはあります。

歯垢は歯ブラシでも取り除くことができますが歯石になってしまうと取り除くのが難しくなってしまいます。そこで、歯石になってしまう前の毎日のセルフケアがとても大切です。
当院でも定期的に歯ブラシ指導や歯のクリーニングを行っていますのでお困りの際には気軽にお声掛け下さい。