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粘液嚢胞

歯の豆知識
下口唇に出来やすい水ぶくれ、粘液嚢胞 

今回は、下口唇に発生する水ぶくれ、粘液嚢胞についてお話しします。

下唇に水ぶくれのようなできものができることがあります。
その中には、大きくなったり小さくなったりを繰り返すものもあり、その場合は粘液嚢胞(ねんえきのうほう)の可能性が高いです。


粘液嚢胞とは

ここでいう粘液とは、唾液のことをいいます。
すなわち、粘液嚢胞とは、嚢胞の内部に唾液が溜まってできた嚢胞のことです。

口の中にはいろいろな嚢胞が発生しますが、粘液嚢胞もそのひとつで、軟組織に生じる嚢胞の中では最も発生頻度が高いもののひとつです。

特に多いのが、下口唇ですが、舌の先端部や頬粘膜にもできます。また、舌の下の粘膜にもできます。

舌の先にできたものは、特にブランディン・ヌーン嚢胞とよばれています。舌下にできたものはガマ腫とよばれます。

10歳未満から30歳代までにほぼ均等して多く、50歳以後の発症は少ないです。


粘液嚢胞の原因

口の唾液を作る組織を唾液腺と言います。
唾液腺は、大きさにより大唾液腺と小唾液腺に分けられます。

大唾液腺は、顎下腺・舌下腺・耳下腺の3つがあり、それらが左右二対で6つですが、小唾液腺は、口唇腺や舌腺、頬腺などがあり、
これらは口の中に無数にあります。

唾液は、唾液腺で作られ、導管とよばれるトンネルを通して口の中に分泌されます。

大唾液腺と比べて、小唾液腺は導管は細く排出口が狭いので、噛んだり、火傷などの理由で、簡単に詰まってしまうのです。

導管や出口が塞がっても、小唾液腺内部では次々と唾液が作られますので、出口をなくした唾液は小唾液腺の中に溜まって、
水風船のように膨らんでしまうのです。

こうして粘液嚢胞が生じると考えられています。
 

粘液嚢胞の症状

粘液嚢胞の大きさは、ほとんどが5mmほどです。
中には1cmを超えるような大きさになるものもあります。

色は、比較的表面近くにできた粘液嚢胞は透明感のある薄紫色ですが、深いところにできた粘液嚢胞は粘膜の色合いに近いピンク色をしています。
自覚症状はありません。

ある程度大きくなると粘液嚢胞が潰れ、中からネバっとした液体が出てきますが、傷が塞がると内部で唾液が再び溜まってしまい、再発します。


粘液嚢胞の治療法

粘液嚢胞の治療法は、経過観察か摘出術です。
薬で治すことのできる病気ではありません。

小さなお子さんの粘液嚢胞の場合は、しばらくすると自然に治ってくることもあります。
そのため、3ヶ月程度経過観察してからの摘出術を検討する場合もあります。

一般的な治療法となるのが、摘出術です。
まず、粘液嚢胞の周囲の粘膜表面に局所麻酔をします。
メスで粘液嚢胞の周囲切開し、粘液嚢胞を摘出します。

このとき、粘液嚢胞の原因と思われる小唾液腺を残しておくと、再発する原因になるため一緒に摘出します。
摘出して、傷口を縫合して閉じます。

粘液嚢胞は小唾液腺付近にできて下唇に多いです。
悪い病気ではありませんが、潰れて消えても、しばらくすると再発するのが特徴です。

小さなお子さんの場合は、しばらくすると自然に治ることもあるので、経過観察することもありますが、一般的には摘出術となります。



もし、下唇や舌などに大きくなったり小さくなったりする水ぶくれのような症状がありましたら、一度ご相談ください。